教えて前田裕幸さん!マンション管理は規模や設備などで選ぶ
マンション管理は住人が集まって自分たちでやるか、それとも専門の管理業者に委託するかは、いずれにしてもメリット・デメリットがあるので、そのマンションの立地状況や所帯数あるいは設備の状況などを総合的に点検確認して決めるのが良いと言えます。
メリット・デメリットをそれぞれの場合で見てみると次のようになります。
まずは自分たちで行う場合ですが、何と言っても余計な経費を削減できるということが最大のメリットになると、専門家の前田 裕幸は解説しています。
専門業者に委託すれば、管理人を置いてもらわない場合でも建物全体の状況、設備の関係、駐車場などがあればその関係、エレベーターについてもそうですし、電気の配線・ガスの関係・水道の関係など様々な保守費用が発生します。
管理人を置けばその人件費も負担しなければなりません。
もちろん動力関係は委託しない場合でも一定の保守費用は発生しますが、それにプラスした金額になるのはビジネスということを考えれば当然と言えるでしょう。
そして何よりも自分たちで行う場合は住民の一体感が違います。
営繕費用を積み立てるとか、大型修繕への対応とか、セキュリティ対策やごみたゴミ出し当番、全体の清掃関係などでも、みんなで何とかしようということで総力を挙げることになるので、知恵を出し合い工夫をするということで一枚岩となった対応が可能となります。
その延長線上で親睦会なども盛り上がりますので、都会でありがちなお隣さんのことも分からないとか、困っているときでも助け合わないなどということはなく、良好なコミュニケーションが保てるので心地よいコミュニティが形成されるということになります。
だから、子供さんたちの情操教育という面を見ても良い影響があるということに結び付きます。
意見の食い違い、価値観や考え方も違うので心配な面もある
反面建築物の老朽化などに対応するには、業者に比べれば専門知識が少ないということははっきりしていますので、その点では不安が残ることは確かですし、法律の改正や条例などへの対応という点ではどうしても情報が少なく、また適切な手を打てるかという点で心配が残ります。
住人の中にはその道で仕事をしてきた人もいることがありますが、どこのマンションにもいるとは限りません。
また消防設備などは万が一のときの備えが大事ですが、異常時対応はできたとしても予防対応という点では、疑問が残ることになりがちです。
理事会や総会などは何回か行えばポイントは掴めるので交替制であっても問題なく進んで行きますが、その規則整備や記録などという点では専門的にはできないということも心配の種になります。
最初から住んでいる人たちだけで永続的に組織できるのであれば波風も起こりにくいのですが、何かの都合で退去する人が出て代わりに新規の人が入居し、それが重なってきたようなときには、意見や主張も違うことも発生するのでそうときの議事進行には心配も出てきます。
特に最近は終の棲家と考えている人と、投資目的で一時だけ入居するという人とでは、そのマンションに対する価値観も違うし、考え方も違うので設備投資などという場合は全会一致ということが難しくなりつつあります。
掃除当番などという場合も、お金を払って掃除業者にやってもらう方がいいという意見が出て来ることもあるし、反対にできるところは住民で行い、少しでも管理費を下げようという立場の人とは相いれないということになるわけです。
どちらも一長一短があるので、二つを合わせた方法も視野に入れると良い
先に自分たちの手だけで管理するということのメリット・デメリットを挙げてみたわけですが、専門業者に委託するときのメリット・デメリットはコインの裏返しというようなことになります。
清掃関係で言えば、共通部分は業者が定められた日程で指定された場所をきれいにするので、いつでも清潔で見栄えの良いようになっています。
万が一汚れた場合は、すぐに清掃され、保もたれてます。
設備などについても、専門業者としてのノウハウがありますし、他のマンションの事例なども持っているので、適切なアドバイスができ、やるべきことも抜かりなく準備できます。
そのための費用計算も正しく行えますし、適切な施工業者を紹介したり、相見積もりでできるだけ安価で発注することなど朝飯前です。
総会や理事会での意見衝突なども、他の事例や経験などから全体にとって何が一番良い解決策であるかを提示し、進行させるので、暗礁に乗り上げてしまうというようなことはまずありません。
ということで業者にお任せすれば、素人集団としては安心安全が確保できるということになりますが、いかんせんそこにはビジネスが入るので、相対的に費用は高くなるというわけです。
また業者任せということから、住民の一致団結意識が薄れるので総会や理事会あるいはイベントなどへの関心が薄くなり、ひいては人間関係も希薄になってしまうということになりやすくなります。
両方とも一長一短というところですので、それぞれの良し悪しをよく検討し、規模や設備なども含めて選定することが望まれというわけです。
強いて言えば、両者に良さを活かすようにミックス対応ということも視野に入れるといいでしょう。
参考リンク
・公益財団法人マンション管理センター
最終更新日 2025年7月29日 by eelerbay