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全保連に聞く!連帯保証人について
賃貸物件を借りる時には保証人を必要としますが、保証人にも通常の保証人と連帯保証人の2種類があります。
通常の保証人の場合には、検索の抗弁権と催告の抗弁権があります。
それと同時に分別の利益もあるため、保証人の中でも比較的リスクの低いものです。
<検索の抗弁権>
これを具体的に説明するならば、まず検索の抗弁権の例を挙げると、賃貸物件の借り主が家賃を払っていなかった場合、物件のオーナーが保証人に対して請求してくることが考えられるでしょう。
ただ実際には、賃貸物件の借り主がお金を持っていて支払っていないだけであれば、このことを保証人は支払いを請求してきたオーナーに対して「借り主の財産状況を調べてほしい」と伝えることができます。
本来であれば、お金を持っているはずの借り主が支払うものですので、お金を持っていることが分かればまず借り主の方に請求してほしいとされることができます。
これが検索の抗弁権といわれており、検索の抗弁権を主張することができれば、保証人はお金を請求されずに済むわけです。
<催告の抗弁権>
催告の抗弁権とは、同じく債務者が家賃を支払わなかった場合オーナーが保証人に請求してきますが、このとき保証人はほかの保証人に請求してほしいと伝えることをいます。
保証人としても、なぜ自分のところにだけ請求しに来るのか疑問に感じるはずですが、ほかにも同じように保証人がいるならばまずそちらの方で請求してほしいと言うことが許されるわけです。
さらに、お金を支払う場合も全額支払う必要がなく自分の按分額だけ支払えばよいことになっています。
例えば、借り主が何カ月も家賃をためてしまい、ついに100万円滞納することになった場合は借金は100万円になります。
このとき保証人が5人いる場合には一人あたり20万円の支払い義務を負うことになりますが、仮にオーナーが全額請求してきたとしても自分は20万円までしか支払わないと主張することができるわけです。
これを分別の利益と言い、分割を請求することができると全保連は言います。
通常の保証人であれば重い義務を負うことはない
このように考えれば、通常の保証人であればそれほど重い義務を負うことはなく、保証人になったことにより破産してしまうようなことはまず考えないで良いと全保連は言っています。
特に賃貸住宅の場合であれば、家賃の滞納の請求が来ることが多くなりますが、家賃の滞納は通常3カ月以上経過した場合に請求を受けます。
3カ月の家賃になりますので、どれだけ額が大きかったとしても100万円を超えることはめったにありません。
それを複数の保証人で分担していたとするならば損害を受けるものの破産するほどの大きな請求がくることはありませんので安心です。
連帯保証人の場合
これに対して、連帯保証人の場合は検索の抗弁権や催告の抗弁権だけでなく、分別の利益すらないのが特徴になります。
これを具体的な例で説明すると、借り主が家賃の滞納している場合、オーナーが連帯保証人に請求した場合には、借り主がお金を持っているのでそちらに請求してからこちらに来てほしいと伝えることができません。
つまり、借り主がどれだけお金を持っていたとしても、請求を受けたならば連帯保証人は必ず支払わなければならないことになります。
次に、催告の抗弁権もありませんが、これはオーナーが請求をしてきた場合に他の保証人に請求してほしいと伝えることができないことをいいます。
保証人が仮に3人いたとしてもほかの人のところに行かず、自分のところに来た場合には、支払う決まりです。
さらに、分別の利益がありませんので債務額全額を支払なければならない義務があります。
例えば100万円の家賃をためていた場合に、保証人が5人いたとしても自分のところに請求が来てしまった場合には全額支払う必要があります。
本来であれば5人いる場合には20万円だけ支払えば済みますが、全額支払うためかなり負担が大きくなるでしょう。
ただ、最終的には他の人も支払うことになるため80万円は戻ってくることになります。
家族であっても連帯保証人になるのはよく考える必要がある
賃貸住宅の場合であっても、一時的な負担が大きくなるのが特徴です。
このように、いくらお願いされたとしても責任が重くなりすぎますのでめったなことではんこを押してはいけません。
家族などであれば連帯保証人になってもよいかもしれませんが、それでも事の重大さを借り主に教えておく必要があると全保連は言及しています。
もちろん場合によっては、契約関係が終了し何ら問題が起こっていない場合にはかなりの報酬がもらえる可能性もありますが、これは家賃の支払いなどではなく会社の資金を保証した場合などになりますので、家賃の場合にはほとんどメリットがないと考えた方がよいです。
もし、何らかの理由で連帯保証人が他界してしまった場合に相続されるかどうかが問題なります。
例えば、親が誰かの保証人になっている場合に親が他界した場合は、全面的に相続をしないことが重要になるでしょう。
一度相続をしてしまうほどそれを覆すことは難しくなりますので、まずは親の財産状況を調べて全く問題がなければそのまま相続をする形にするべきです。
少しでも不安な点があれば相続は見合わせた方がよいでしょう。
出典:全保連
最終更新日 2025年7月29日 by eelerbay